2018年4月11日水曜日

吉増剛造さんから拙詩に大変なお褒めの御言葉を頂きました

杉中昌樹さん編集発行の「ポスト戦後詩ノートvol.10 大木潤子特集」を吉増剛造さんにお送りしたところ、吉増さんからわざわざお便りが!!

 巻頭に寄せた拙詩に、「天からの、そして下の方からの恵ミのようにして眞の詩を」云々云々と、恐れ多くも大変なお褒めのお言葉を頂き、非常に励まされております。

吉増さんのお便りをスキャンしてアップしたいところですが、私信を勝手にアップするのも憚られ、一方で「FBに載せてもいいですか?」などと吉増さんに伺うのも気がひけるのでアップは断念しました。苦笑

特集号、お蔭様で大変ご好評頂いております。これも、労を厭わず原稿依頼してくださった杉中さんと、お忙しい中お時間を割いて御詩をくださった朝吹亮二さん、ご論考を書いてくださった執筆者のみなさま ー鈴木ユリイカさん、荻悦子さん、鈴村和成さん、平井謙さん、阿部嘉昭さん、連れ合いの福田拓也ー のお蔭と思い、心から感謝致しております。本当にありがとうございます。

杉中さんに問い合わせたところ、特集号に載せた詩を
アップするのは「是非是非」とのお返事を頂いたので、拙詩を、写真と本文の両方でアップします。お読みくださいましたらとても嬉しいです。『石の花』ともまた全然作風が変わっています。


「埋められた者が/埋められたまま/輝く」他五篇
                   大木潤子
叫びの容相を呈して
近づいてくる者、
その氷の声が、
時計の針と逆の向きに
ちくたくと、
はしゃいでいる、
小さな獣たちもその声の上を、
昇ったり、降りたりして、
降ってくる雹を、
食べたりして、
かわいそうに、みんな、黒い、
テントの中で、
重なっていて、
  *
その声が、
聞こえる場所に移動して、
金切り声を上げて、
歯が何本も抜ける、
その駅の向こうまで走って、
扉を開ける、
植木鉢の花の、
抜き取られた根の湿り気、
絡まった土の粒から、
ひとつずつ、
教えられる、
  *
抜き取られた花の根の
繊毛が歌を歌う、
若い鹿のような声でそれは、
夜の、小さな星の仲間に、
ひっそりと囁く、
パンを焼く人の、
手の中に入り込んで、
一枚一枚、
硬貨が
弾かれていく、その
ばねの中に、
  *
湿った髪の毛の
中に息があった、
音楽を、レコードが鳴らして、
その溝からも息が、
立ち昇るからその中に、
手を差し伸べる、
助けを与える者のように、助けを
求める者のように、
固い
根を囓りながら、
  *
最後から二番目の瞳が、
いつも足りない、
それで泉に、
水を汲みに行った、
井戸ではないから枯れている日がある、
近づくと土の粒が乾いていて、
蝙蝠がSの字を書いて飛び交う、
その下に
埋められている者が
埋められたまま
輝く
  *
犀の角が落ちたので
交換しに行く、
赤い筒が飛び交って、
暗い道を照らす、
「今日よりも、明日の方が明るい」
と人が言うので坂を下った、
突き当たりの店が閉まっている、
道を渡って、
骰子を拾い、
それを空に向けて投げる、




 
 
 
 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿