2018年6月29日金曜日

第四詩集『私の知らない歌』(思潮社)がいよいよ刊行です!

第四詩集『私の知らない歌』(思潮社)がいよいよ出来上がります!
右側が余白ではありますが、約480ページに及ぶ大部の詩集になっています。
一昨日見本が刷り上がり、最初の一冊が昨日、次の五冊が今日届いたところです。
第三詩集『石の花』同様、今回も小田康之さんに、装幀に関してこちらの希望は一切申し上げず、ゼロからデザインして頂きました。
月のクレーターを思わせる凹凸のある特殊紙、本体背部の型押し(通常1.5㎜のところを3㎜の奥行きで型押しだそうです)、本文の用紙の手触りなど、非常に凝った意匠で、驚きました。...
素晴らしい装幀を頂き、感動しています。
今回は、印刷所に回った後で手直ししたくなって戻して頂くなど、小田さんには多々ご迷惑をおかけしてしまったのですが、いつもにこやかに、「最終的にいい形で詩集を出せることが一番大事」とおっしゃってくださって、どんなに心強かったかわかりません。
『現代詩手帖』に投稿していた時からのご縁で、投稿欄入選作を中心にまとめた第一詩集『鳩子ひとりがたり』から四冊すべて、小田康之さんに手がけて頂いています。
もう四半世紀にも及ぶ有り難いご縁。感謝の気持ちで一杯です。この場を借りて、小田さんに心から感謝を捧げたいです。





2018年6月27日水曜日

キリギリスに、人差し指を嚙まれた話


 垣根の、道路に面した側面が大分伸びて、盛り上がってしまっている枝をちょんちょん切っていると、ボン! と、何かが私の胸に当たって、弾んで下に落ちた。上の方の枝を切っている時だったから、大きな枝が落ちて当たったのかとも思ったが、それにしては局所的に重量感があったと不思議に思いながら下を見ると、鮮やかな緑色の昆虫がいた。

頭の先から尻尾の先までが十センチくらいだろうか、殿様バッタくらいの大きさで、背中に、細長い三角の模様が入っている。

キリギリスだ!

胸がときめいた。

キリギリスを見るのは、生まれて初めてだ。

見たことがないのに何故わかったのかと言うと、去年垣根に、全身緑色の、形はコオロギに似た虫が沢山いて、名前を調べた時に、キリギリスの写真を見たからだった。太宰の小説のタイトルにもなっているし、名前はよく聞くのに、実際に目で見たことはない。人間が、暮らしづらくさせているせいなのかな、などと思っていたのだった。

Tに見せると喜びそうだ。捕まえて、箱に入れよう。両手で掬うようにすると、手乗りの鳥みたいにひょいと乗って、パタパタと足を動かして腕をよじ登ってくる。すぐ肩に届いてしまいそうだから、空いている方の手でまた掬うようにすると、ひょいとその手に乗る。乗ってまた、その手に続く腕に登ってくる。

最初から懐いている。まるで飼われるために現れたかのようだ! これはもう飼うしかない。羽をいためたりしないように両手で大事に包み込むようにして、玄関に入る。扉を開け閉めするのに片手を使ったらピョンと跳び出して、下駄箱の前に落ちたが、手のひらを差しだすとヒョイと乗るから、また両手で包む。

ついこの前まで、蝶になる前の青虫が入っていた段ボールが押入の中に、また青虫が来た時のためにとってあるからとりあえず、それに入れる。青虫用だからとても小さい。これじゃあ可哀想だからもう少し大きめの段ボールを用意してあげないとならないけれど、とにかく今はその箱に入れて、そうだ、まずはキュウリをあげよう、

「キュウリがあるんだよ、キュウリ食べる?

美味しいよ~キュウリ。」

キリギリスに言ってから、逃げ出さないように上に、他の段ボールを載せた。

一瞬真っ暗になってしまうからちょっと怖いかも知れないけれど、今はほかに蓋になるものがないから仕方ない。キュウリとラップを持ってくるまでの、わずかな間の辛抱。ちょっと、待っててね。

園芸用の手袋をしていたのを外して急いで手を洗い、冷蔵庫から取り出したキュウリを薄くタッタッと二~三枚切り、段ボールにかぶせる分くらいのラップを引き出してピッと切り離して、段ボールのある部屋に向かう。

蓋にしていた段ボールを外してキリギリスを左手のひらに乗せた、その瞬間。

イタイイタイイタイイタイ、イタイイタイイタイイタイ

思わず悲鳴を、近所中に響き渡るくらいの大声で上げ続けた。

キリギリスが私の人差し指を嚙んで離さない。

指先の、ぷっくり膨らんで一番やわらかいところだ、そこをガッと嚙んで離さない、右手でキリギリスの体を持って引き離そうとするが絶対離さない。

イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ

近所に聞こえたらみっともないけれど止められない、鋭い歯が肉に食い込んで、貫通しそうだ、これは貫通する、そういう痛みだ、今は嚙んでいるから出てないけど放したら血がどっと噴き出す、間違いない、とんでもないことになった、怖かったんだ、狭くて真っ暗なところに閉じこめられて怖かったんだ、最初はあんなに懐いてたのに、自分に怖いことする相手だと思ったから嚙んだ、ああしまった、蓋なんかするんじゃなかった、でももう、どうすれば、離さない、

 イタイイタイ

 そうだキュウリ、キュウリで気を引けば離すのでは、気が付いて、

「ホラ、キュウリだよ、食べる?キュウリ」

 鋭い痛みが指先から全身まで走るのを我慢して、持ってきたキュウリをキリギリスの顔の前に持っていった、すると

「?」

 というように、キリギリスは指から歯を離した。作戦成功だ。

 駄目駄目、これじゃ飼えない、何かする度にこんな風に嚙まれたら大変なことだ、そうだ去年も、緑色の虫が綺麗だから飼おうとしてやっぱり嚙まれたんだった、雑食だから人間も嚙むんだ、飼うという気が全く失せた私は部屋の窓と網戸を開けて、その部屋はすぐ目の前が垣根だから、

「ほら、もう、戻んな、ハイ」

 箱を垣根の方に差し向けると、まだ出なくてもいいかな、みたいな風に、迷っているようだから、

「ほら、もう、嚙むからだめ、ハイ」

 もう一度垣根の方に傾けると、今度は決心がついたように、ヒョイと垣根の葉の上に移動した。

 

 

    *

 

 ほどなくして、Tが二階から降りてきた。睡眠が足りなくて、朝食の後また、寝に行っていたのだ。キリギリスがいたと話すと、

「えーキリギリス。俺見たことない。放さないどいてくれれば良かったのに」

「Tに見せようと思って、段ボールに入れてたんだよ。でもものすごい嚙まれてとんでもなく痛くて、もう飼えないと思って」

「放すことなかったよ。俺見るまでだけでも置いといてくれれば良かったのに。」

「そうだったよねえ。でもあの時はもう考えられなくて」

 指には結局、穴なんて開いていなかった。傷ひとつついていなかった。キリギリスが口を離した時、茶色い汁が指先に盛り上がっていたが、それは血ではなくて、キリギリスが出した汁だった。子供の頃、おんぶバッタを捕るとよく、バッタがこういう汁を出した。確か、相手を驚かせて逃げるために出す、と聞いたことがある。小さな段ボールに閉じこめられて、怖かったんだろう。最初は懐いていたのに、可哀想なことをした。

 それにしてもなんであんなに痛かったんだろう。傷一つついていないのが不思議で仕方ないのだった。触ると、まだ刺激は感じる。

「いるかな、まだその辺に」

「いるよいるよ、ついさっきだもん放したの」

「見てこようかな」

 Tが外に出るから、私も出ていく。

「どの辺?」

「この辺だよ」

 目を凝らして見ても、見つからない。垣根と同じような色をしているから難しいんだろう。

「いないなあ」

残念そうに呟きながら、Tが垣根の幹を揺らす、すると

ばさばさばさっ

「音した」

「蝉みたいだな」

「蝉が木の中にはまり込んで出ようとしてる時と同じ音」

 昆虫の固い羽が、高速度で震動して、葉に当たる音だ。やっぱりこの辺にいる。

 もう一度、Tが幹を揺らす。

 ばさばさばさっ。

 また、羽の音がする。でも、

「いないね」

「うーん」

 姿は、見えない。

2018年6月24日日曜日

ツェルニー30番の11番No11 d'Etudes de Mécanisme Op.849No 11of Czerny 30 New Studies in Technics: For the Piano - Opus 849


総計23年半におよぶブランクの後再開したピアノ、再開後1年1ヶ月ごろ、3月6日の録音その5。
前回アップした10番に続き、ミスタッチなく録音できた!
3月6日の録音はこれで終わり。 

2018年6月23日土曜日

保坂和志さんがご受賞なさった川端康成文学賞の贈呈式と祝賀パーティーに行ってきました



昨日は、ホテルオークラでの、川端康成文学賞の贈呈式と祝賀パーティーに行ってきました!

『こことよそ』でご受賞なさった保坂和志さん、本当におめでとうございます!!

小説の受賞パーティーに参加したのは初めて。三島由紀夫賞と山本周五郎賞とが合同だったこともあってか、参加者の人数が半端でなく、パーティーも豪華でびっくりしました。

 贈呈式での保坂和志さんの受賞の言葉がとても刺激的で面白かったです。

「なるべく、小説以外のことをしたい」「一貫性はないが、矛盾はある小説、脈絡はないが、脱線はある小説を書いていきたい」「どんどん拡散していく作品を書いていきたい」「お坊さんがお経と唱えるような感じで書いていきたい」などなど、小説というジャンルの境界を拡げるスリリングな言葉の数々は非常に新鮮で印象に強く残りました。

 今後の保坂和志さんのますますのご健筆をお祈りします!!

写真を撮るのを忘れました。残念無念。

2018年6月17日日曜日

大明気功院の講習会に参加してきました

昨日は大明気功院の気功講習会、「夏季養生」の二回目に、連れ合いと参加。
冬に脳梗塞、くも膜下出血などになる時は夏の過ごし方に原因があると聞いてびっくり!
連れ合いが倒れたのも冬。思い当たることがいろいろあり、「夏にもう、(くも膜下出血に)なってたんだ!」と二人で驚く。
講座の後の気功練習も、青島大明先生から直接細かいところをいろいろ注意して頂けてためになった。
帰りは二人で「みなとみらい」に出て「陳麻婆豆腐」で食事。みなとみらいのQueen's Square には、以前横浜ルミネにあって気に入っていたお店が移っていることに最近気付いて、これから活用したい!

この春二匹目のモンシロチョウが羽化!

この前まだサナギだったモンシロチョウが今朝羽化して、ついさっき、大空に舞っていきました!
菜っ葉について来た時はすごく小さかった。育てても、無事、蝶になれる青虫はたぶん半分以下。感無量。
三枚の写真は外に出た直後、羽化したばかりでまだ段ボールの中にいるところ、羽の模様が透けて見える一昨日のサナギ。


2018年6月16日土曜日

梅ジャムとジェノベーゼソースづくり

根を短く切る作業の合間、雨の日は梅のジャムづくり、フレッシュバジルでジェノベーゼソースづくり。ジェノベーゼソースは最近毎年つくるようになりました。まとめて沢山つくってジッパー袋に入れて、ぺったんこにして冷凍。必要な時に必要な分だけパリンと割って解凍して使ってます。
ここ二箇月くらい異常に忙しくて息をつく間もなかったのですが、やっとこんなことをする時間ができたかな。

2018年6月12日火曜日

モンシロチョウが羽化しました!

モンシロチョウ羽化第一号!
今日も垣根を頑張って、汗びしょになったのでシャワーを浴びていたところ、連れ合いが大声で叫んでいる声が聞こえてきて、扉を開けて耳を澄ますと
「チョウチョだ、チョウチョが家の中を飛んでる! 孵ったのか? あれ、違う! 何だ? モンシロチョウが家の中を飛んでる!」
と叫んでいるのを聞いてピンと来た、脱走した青虫だ! あの青虫が蝶になったんだ!
連れ合いはこの前サナギになった青虫が蝶になったと思って段ボールを見たらサナギはまだそのままなので、家の中を飛んでいる蝶がどこから来たのかわからず騒いでいるらしい。私は大急ぎで服を来て出て、
「違うよそれ、脱走したのだよ」
野菜に青虫がついてくるといつも小さな段ボールに入れて、ラップをかけてゴムで留めているから今まで脱走した青虫は一匹もいない、なのにこの前は忽然と消えた。サナギになる直前、気に入った場所を探して青虫は長距離を歩く、段ボールの中に閉じこめられていても段ボールの壁をぐるぐるぐるぐる何周もしてから、サナギになる場所を決める。だけどその青虫はゴムで留めたラップと段ボールの間の僅かな隙間から出て行ってしまったらしく、朝段ボールの中を見たらいなかった、いないと思っても今までは、菜っ葉と同じ色で見逃しているだけだったから菜っ葉を取り出してしげしげ見たけれどいなかった。忽然といなくなっていた。
「青虫脱走した」
「どっかにいるぞ。でも下には行かないから踏まないだろう」
「どこいったんだろうねえ」
段ボールは台所に置いてあったから、ごみ箱の横とか冷蔵庫の脇とか、青虫がサナギになる時に好みそうな場所を探したけれど見つからなかった。
「小さい虫が沢山飛んだらコマユバチにやられてたってことだね。無事蝶になったら突然蝶が飛ぶね」
「羽化してすぐに日に当たらないと飛べない蝶になるぞ。出かけてないときだといいけどな」
などと話していたのに連れ合いはすっかり忘れていて、手品みたいに突然、紋白蝶が現れたと思って騒いでいた。
「窓のところにいる、窓に当たってるからすぐ出してやらないと羽がいたむかも」
言うので見ると、レースのカーテンと窓の間をパタパタと飛んでいる。蝶は明るいところに行こうとするのだそうで、今までも家の中で蝶を放すと一目散に窓に向かった。
「写真だけ撮る、写真」
大急ぎでパチパチ撮って、窓を開ける、薄いレモン色を帯びた白い蝶は窓が開いたことがわかったようにさっと外に出ていった、ずっと前から飛ぶことを知っているようにふわっと空に向かった。
写真上は羽化した蝶、下は現在変身中の蝶。




 

2018年6月10日日曜日

垣根のレッドロビンの丈を自分で詰めることにしました

一昨日から垣根の大手術開始!
雨以外の時は連日頑張っています!
3月に有機の固形肥料を施してから大分元気になっているのですが、やはり病気が残り、「丈を短くするといい」と教えてくださった方がいて、実行することにしました!
最初はまさか自分でやるとは思わず、植木屋さん探し。今までの植木屋さんでは酷い目に遭ったので、地域で一番老舗(?)の植木屋さんに相談したところ、新規のお客さんを受け付けないどころか、今までのお得意さんも少しずつ断っているという話。理由は「人手がない」!
人手がないという意味も説明してくれました・・・植木屋というのは昔は丁稚奉公みたいにして小さい時から技術をたたき込まれた、ところが今は、昨日までタクシーの運転手だったとか、デパートで働いていた人が、「植木屋もいいなあ」という感じで始めてしまう。そういう人を使うことはできないから結局一人でやることになって、それだと今までのお客さんも断らなければならない事態。今、この地域にはまともな植木屋さんはいない、シルバー人材センターの人と同じで違うのは値段だけ。自分でやった方がいいよ。と言われ、一念...発起!
 大体80センチ~1メートル丈を詰めるので、ノコギリ片手に、6月中、晴れた日は庭でギコギコやることになりそうです。切っても木の負担が軽い場所というのがあるようで、しっかり本を読んで勉強しました。木が喜ぶように頑張って切って、元気になってもらいたいです!!

2018年6月5日火曜日

ツェルニー30番の9番 No 9 of Czerny 30 New Studies in Technics: For the Piano - Op.849

総計23年半におよぶブランクののち再開したピアノ、約一年一ヶ月後の録音その2。3月6日の録音。右手に一回ミスタッチあり。一度も間違わない録音は録れず、仕方なく見切りアップ・・・。

2018年6月4日月曜日

保坂和志さんの川端康成文学賞受賞パーティー@鎌倉に参加してきました

6月1日は、保坂和志さんの川端康成文学賞受賞パーティー@鎌倉に参加してきました。パーティーの前に銭洗い弁天にお参りに。とてもいい思い出になりました。